Thomas Varela

仏リゾート運営企業クラブメッド(地中海クラブ)は1950年に2人のフランス人が起業して以来、「世界に広がる夢、幸せ、友情」を象徴してきた――同社のパンフレットにはそう書いてある。 元フランス大統領バレリー・ジスカールデスタン氏の息子、アンリ・ジスカールデスタン氏は、2005年にクラブメッドの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任して以来、クラブメッドを富裕層向けに変革しようとかじを切った。木造バンガローの並ぶリゾートを閉鎖し、ディオールやシャネルといった高級ブラント店が入るリゾート施設の建設を進めた。だが2009年に欧州を襲った景気後退で行き詰まり、資金不足に陥った。 ジスカールデスタン氏は復星国際に支援を要請。同社は2010年にクラブメッドの株式の7%を取得し、アジア進出を進める方針を表明した。 だが復星国際がクラブメッドの支配権を確実にするまでの2年間、フランス産業史上ほとんど例のない激しい買収合戦が繰り広げられた。 フランス証券当局の11日の発表によれば、復星国際が率いるグループはクラブメッドの株式の92.8%を手中に収めた。復星国際は、やはりクラブメッドの株式を保有するフランスの未公開株投資会社アルディアンと組んで買収合戦を戦った。 過去10年にわたり復活を目指し苦しみ抜いてきたクラブメッドは、復星国際の下で大きな変革を余儀なくされるだろう。